血と汗と涙のシート製作記
『シートとは!』に社運を掛ける男達のシート製作記から普段の行いまでを完全網羅?
インジェクションスポンジについて 第3考
今回は形状のことは考えずに、スポンジの話をしたいと思います。
当社のシートは、全て型の中でスポンジを発泡させる『インジェクション製法』を採用しています。

型の中で発泡させるインジェクション成型の場合、膨れあがろうとするスポンジを型で抑える事でスポンジにとても強い圧が掛かります。
圧が多く掛かる外側(シート表面側)は、型に押し付けられる為、スポンジの粒のきめが細かく【小さく】なります。
型から抜いたスポンジの表面が、まるで人の肌のようにきめが細かくなる事から『スキン層』とも呼ばれています。

スポンジを輪切りにした物の断面を見ると、シートの表面側(スキン層)から中央にいくにしたがって、少しずつ粒が大きくなっていきます。
この粒の大きさの違いにより、腰のある弾力と包み込むような柔らかさが生まれているのです。
この一見相反する『腰のある弾力と、適度な柔らかさ』という要素を兼ね備える為には、スポンジにしっかりと圧の掛けられるインジェクション製法が必要なのです。

ちなみに、インジェクション成型したスポンジのスキン層や、表面側のきめ細かい粒を削り落としてしまうと、とたんに腰の無いただ柔らかいだけのスポンジになってしまいます。
表面のスキン層と細かい粒はスポンジの弾力を保ち、型崩れし難くし経年変化を少なくしているからです。
同じ使用状況で、このスキン層と表面のきめ細かい粒がある物と、それらを削ってしまったスポンジとでは、経たり方が大きく違ってしまいます。
こうした事から、K&Hではアンコ抜きなどの形状変更は一切お受けしておりません。


(↓はスポンジの機械のウォーミングアップにテスト打ちしたもので、これをみれば発泡する様が想像できると思います。
きれいに軽量カップの目盛りにまでスポンジが行き渡っています。)
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話は変わりますが、よく目にするサスペンションに、巻きが不等ピッチのバネが付いているのを見たことがありませんか?
一本のばねでソフトな乗り心地と、コーナリング性能を両立しようと考えられた巻き方で、コーナリング時や高速走行時にはよく踏ん張り、路面の凹凸をよく動いて吸収させるのが狙いです。
サスペンションの仕事はタイヤを路面と接地させたり、ときには路面からの突き上げを吸収し、乗り心地を良くする仕事もします。

シートには、操作するライダーのお尻を支えるある程度の腰の強さと、乗り心地を良くする為の柔らかさが必要です。

インジェクション成型されたスポンジは、車体とライダーをしっかりと結び『腰のある弾力と、適度な柔らかさ』という、良いサスペンションと同じ『よく動いてよく踏ん張る』特性を持っているのです。

しかし、特性が良くてもスポンジの硬さの設定が悪くては仕方がありません。

K&Hでは、実際に長距離を何度も走ってスポンジの硬さを決定します。
決めたからには決めた硬さのものを商品にしなければ意味がありません。
ところが、注入する機械と型と原液があれば均一なスポンジが作れるというものではないのです。
スポンジが発泡する際には型にとても強い圧が掛かります。
圧の掛かるしっかりとした型が作れなければ、同じ形のスポンジは出来ても同じ硬さにはならないのです。

その他にも発泡させる部屋の室温・湿度・型温・原液の温度・注入量や吐出圧等の様々な管理を、年間を通して一定に保つことにより本当の意味での均一なスポンジになるのです。
機械を使いインジェクションスポンジを採用していても、しっかりとした物を作り上げる為には人の手の掛かる部分や、人が考えなくてはいけない要素が多く存在します。

これらは、作り手に常に探究心があり、良い物を作りたい!という気持ちがなくては成し得ないものだとK&Hは考えます。


(これもテストのときに出来た物です。パンの様でおいしそう?)
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Virgin-BMW Motorrad.com
にてコラムの連載を始めました。
月に一回更新予定ですので、時間のあるときに覗いてみて下さい。

あと以前のVirgin-Harley.comインタビューもお暇なときにどうぞ

シートの形状 幅について   第2考
前回は着座位置の高さ、スポンジの厚みについてでしたので、今回は幅について考えてみたいと思います。

オートバイに乗っていて足を付くとき、それはオートバイが停止していることを示します。
足を付くのは、二輪車特有の動作であり、オートバイが二輪であり、自立することが出来ない為でもあります。
一輪車ではありませんから、普通に乗っていれば、前や後ろに倒れることはなく、倒れるとしたら左右どちらかになる筈です。
オートバイを支える為、左右の足でバランスをとるのですが、どうする必要があるか?
まずは足を付かなくては始まりませんね。その他に何が必要だと思いますか?

ここからが本題です。

ハーレーの場合、プライマリーカバーが左足のふくらはぎ、右足の足首の少し上辺りにマフラーがあります。
BMWやその他の車種でもサイドカバーやシートベース等、車体の幅が広くなっている部分よりも少し広げた位置に足を着くことになります。

オートバイから降りて、上記の幅くらいに足を開き、左右どちらからか人に押されたとしたらどこに力が入ると思いますか?
ほとんどの人が、足をべったり付いた状態からつま先に荷重を移し、力を入れてバランスを保つ筈です。
バランスを保ちきれず、かかとが浮いたとしてもつま先が先に浮くことはないでしょう。

『おっとっと』という言葉で想像する人間の動作を思い浮かべてみて下さい。
つま先でバランスを保っている人を思い出しませんか?
かかとでバランスを取っているのを想像する人は少ないでしょう。
つま先は人間が左右にバランスを保つときにとても大事な役目を果たします。
バランスを保つには、荷重をつま先に移し、自分の体重を支えるのに見合っただけの力が必要になります。
シートにどっかりと座った状態では、シートに乗せた分の体重は車体に掛かり、ほとんど足に荷重が掛かりません。
足に荷重が掛かっていないということは踏ん張りが利かないということになります。
常時踏ん張っている必要はありませんが、荷重を掛けにくいのではふらつきの原因になります。

幅の広いシートで、『腿の内側に当たる部分が邪魔で足を下ろしにくい!足着きが悪い』という話をよく耳にします。
皆さんが不快に感じるのは、足を下ろしにくいのはもちろんですが、実は足に力が入らない(荷重がうまく掛けられない)ということなのです。

オートバイを支え易くするためには、足を着いたときに自然に荷重の掛けられるシート形状にする必要があります。
足に荷重を掛けやすい形状であれば、車体の急な動きにも瞬時に対応出来るようになります。

幅の広いシートだと、内股に当たる部分が邪魔で膝が曲がってしまい、最短距離で足を着く事が出来ません。
足の付け根、内股の当たる部分が細くなっていたほうが直線的に足を出し易くなります。
シートが細いほうが足着きは良くなるのですが、ただ幅が狭いだけのシートだと、お尻を十分にサポート出来ずに乗り心地の悪いシートになってしまいます。

足を出す部分は細く、お尻が乗る部分を広くすると、足着きが良くて乗り心地の良いシートになるのですが、車種によって車体の構成は様々で、乗り方まで違ってきます。 
たとえばBMWとハーレーが同じシートでいいはずがありません。

K&Hでは全てのシートで実際に走行し、車体を支えやすいシートの形状、どこに座れば操作がし易いか、また楽しく乗れる乗車位置までを考えながらシートの形状を決めていきます。
跨っただけではシートは作れないということです。
そのオートバイの事を学び、それからシートを作ります。



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足つきという言葉の意味 第1考
 ほぼ毎日足つきについてのお問い合わせをいただきます。

少しこの事について生意気を書かせていただきます。

『低い位置に座れば足つきが良くなる』

そう思っている方が、たくさんいらっしゃいます。

確かに間違いではありませんが、大正解ではありません。

実は、着座位置が高くても形状を工夫することで、低いシートよりも足つきを良くする事が出来るのです。

着座位置を低くするよりも、逆に高くしてしまった方が足をつけやすい場合も多々あります。

たとえば、シートがない状態で跨り、座るとそのオートバイで一番低い位置に座ることになります。

座った事のある方ならピンとくるかもしれませんが、腿の裏やふくらはぎにフレームやサイドカバー、ハーレーであれば、プライマリカバーやマフラー、車種によってはバッテリー等が当たり、足つきが悪いことに気付くはずです。

シートがない状態で座って取り回してみて、蟹股歩きになった経験はありませんか?


下の写真は、175cmがシートを外してフレームに座った状態です。
腿の裏にフレームが当たっていて蟹股になっていますね。
かかとも思いっきり浮いてしまっています。
(サンダルなのはご勘弁を!)
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座っているよりも跨ったまま立ってしまった方が、楽にオートバイを支えられると感じるでしょう。

???立った方が楽???


今度は175cmがバイクを跨いだ状態で立たせてみました。
今度は足がしっかりつきオートバイを支えられています。
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足つきを良くする目的は、単に足がつく、つかないという事だけではありません。

もちろん両足がべったりつくに越したことはありませんが、『バイクを立たせる(支える)事をし易くする』それが本来の目的なのです。

本来の目的を見失い、足がつくことだけに必死になり、足がつくけどオートバイを支え難い、スポンジが薄く乗り心地が悪くて乗っていられないでは本末転倒です。

自分の体重よりも重たいオートバイを支えるわけですから、オートバイの重心を保ち支える為の足のつき方、足のつく位置が重要になってきます。

人間の足は、長さや形状に個人差はありますが、関節の数やパーツ構成、何かをする時の基本動作は同じです。

では重たいオートバイを支える為にはどの位置に、どのように足をつけば良いか?

それらを考えるのが、本来の足つきに対しての考え方ではないでしょうか?

K&Hはそう考えます。

蛇足ですが、シートを外してバイクに跨り、両足でしっかり立った時にバイクとお尻に空くスペース、
そのスペースがあなたがバイクをしっかり支えられ、装着できるシートの厚みです。

思っているよりも高い位置に座れれると感じるかもしれませんね。

一度お試しあれ!

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